ゲンノショウコ(学名:Geranium nepakense Sweet sunsp.Thunbergii Sieb.et Zucc. Hara )は、フクロソウ科の多年草で茎は分岐して地上をはい、また多少直立する。ゲンノショウコ は昔より日本を代表する薬草の1つであり、一般には山野に自生しているゲンノショウコを採取し日干し乾燥したものを水で煎じて下痢止め、便秘、喉の痛みな どの解消の目的で服用され、よく効くので現在でも民間薬として広く薬局で販売されています。その主成分はザクロの有効成分と同じエラジタンニンであるゲラニインである。
ゲラニインは加水分解型タンニンと言われ容易に加水分解しコリラジン(ゲラニインよりエラグ酸が1分子脱離したもの)、エラグ酸、没食子酸などに分解すると言われている。分解した場合、難溶化して結晶し体内吸収性の低下等が起こり、その有効性、利用範囲は狭められる可能性があり、また、栽培、収穫、乾燥、煎じ方法によっても加水分解されることが考えられる。
ゲンノショウコの特性|特許申請中
◆ 生育段階、各部位の違いによるゲラニイン量の調査
ゲンノショウコの生育段階および部位の違いによるゲラニイン量を調べたところ、定植後開花前の11週が、部位としては葉が最も高かった。
◆ 市販品中ゲラニイン量の調査
市販品のゲンノショウコ中のゲラニイン含量は栽培した植物の1/4以下であった。これは、収穫時期、乾燥工程によりゲラニインが分解したと強く示唆していた。
◆ ゲラニイン分解を阻止する製造方法の確立
ゲンノショウコ中のゲラニイン分解を阻止し、ゲラニインを高純度する製品方法を開発した。このことによって、今までよりゲンノショウコの利用範囲が広がったと考えられる。
機能性評価・応用開発|特許申請中
◆ 食品用抗酸化剤、食品用安定剤の開発
ゲンノショウコ中のゲラニインは他の抗酸化物質より強い抗酸化性(DPPH法)を有していた。また、食品用色素の光による退色を抑え安定性を向上させた。このことは、新規機能性食品、特定保健用食品などの開発に寄与すると考えられた。
◆ 健康食品・ガン予防食品の開発
ゲンノショウコ中のゲラニインは、他の物質に比べて糖尿病、癌などの疾病原因の可能性がある活性酸素を消去する能力(SOD様活性)に対して高い効果を示した。現在、医薬品の範疇であるゲンノショウコの利用範囲が広がる可能性が考えられた。
◆ 美白剤の開発
ザクロ中の成分であるエラジタンニンと類似した化学構造を有するゲンノショウコ中のゲラニインは、強いメラニン合成阻害機能を示した。水溶性であるゲラニインは美白効果に作用する可能性が高く、美白剤の開発に寄与する可能性が高いと考えられた。
◆ わきが予防剤の開発
ゲンノショウコ中のゲラニインは、わきがの発生原因の1つであると言われているアルカリホスフォターゼ(ALP)の酵素活性を強く阻害した。このことは、新規わきが予防剤の開発に寄与する可能性が高いと考えられた。